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短編小説「ワシとゴーヤ」 [CLUB葉緑素]


 やられた・・・。

 気づくべきだった。
 あの時。


 7月頭からゴーヤを植えた。

 理由は
 ・おしゃれなグリーンカーテンが欲しい
 ・なんだったら食いたい
 
 一番の理由は豊富のニコット(ホームセンター)で半分枯れかけたような寂しげな苗を50円で売っていて、つい捨て犬を拾うような感覚で買って帰った為。

 部屋の窓の所にプランターを置いて土と肥料を入れて栽培を始めた。
 枯れかけていた苗はぐんぐんと力を取り戻して青々とし始め 勢いよく天へと育ち初めた。
 そして程なくして花が咲き始めたではないか。

2019-09-15 08.31.53.jpg

 こんな花が日々咲いている。


 花には蜂や蝶などが絶え間なく
 訪れ期待は高まるばかり。

 近いうちにゴーヤチャンプルー
 を食おう!



 しかし・・・
 
 待てども待てども実ができない。
 これは虫の力だけは受粉が出来ないのではかいか?
 と、思ったのが9月に入ってからの事で苗を植えてから早2ヶ月が経っていた。
 仕方ないので農家がよくやっていた「筆」による受粉を始めた。
 毎日、咲いた花の「雄しべ」に筆を付けて隣の花の「雌しべ」へと花粉を付ける作業を延々とく繰り返した。

 「おかしい」
 「実が出来ない」

 作業開始から数週間経つが一向に実の様な膨らみが出来なのである。

 この話しをしたトコロ、某女史がネットを駆使して得た情報に驚愕した。

 「おい、おっさん!ゴーヤには雄花と雌花があんで~」

 
 マジかいや&マジかいや!

 知らないだ。
 ホンマかいや。

2019-09-15 08.31.53.jpg
 情報によるとこの真中の部分が黄色い
 花は



 雄花







 という事は ワシがず~っとやっていた作業。
 それは雄花と雄花を受粉させるという不毛行為。
 これはあれだ、ゴーヤ界の「おっさんずラブ[揺れるハート]」。
 ゴーヤからしたら隣のおっさんの花粉をイヤイヤ 筆で擦り付けられるという行為をされていたワケだ。
 人間に置き換えたら たまたま横にいた男の精s  いや、それは書くまい・・・。
 すまん、ゴーヤ。
 セクハラとパワハラをずーっと行っていたのか。
 そりゃ実など出来るわきゃないのである。

 聞くとことによると
 ・雄花20に対して雌花は1程度しか咲かない。
 ・寒い地域では雌花は咲きにくい。
 とある。

 待て待て、そもそも道北では生育条件に当てはまらないのでは?
 今夏30度を超えた日はたった1日しかなかった豊富町。
 しかも、ワシの部屋の窓においては朝10時には既に太陽が当たらない条件なので更に厳しい。
 
 あああ・・・

 この数ヶ月、何をしていたのか・・・
 酒だ、酒飲みなはれ~。

 悲しみに暮れる数日後・・・


2019-10-03 11.25.45.jpg 10月3日

 見た事もない雌しべの色を持つ花
 が!
 これは・・・
 で・伝説の・・・


 雌花や!



 神はいた。


 そしてついに

2019-10-13 11.49.09.jpg

 10月13日


 じゃ~ん!!






 全宇宙待望のゴーヤ様(実)がご降臨に!
                       ヽ(^。^)ノ


picture_2019_10_3_11_27_21_618.jpg


 しかも もう一個 実が出来た!



 これはあれや!

 ゴーヤチャンプルー大会開催や!





 しかし、この時気づくべきだった。
 もう、10月半ばという事に。
 北海道の冬は早い。


 数日後、当たり前のように寒波到来。


DSC_2987.JPG

 _| ̄|◯


 たった一日で枯れ果てるゴーヤの 寒さに対す
 る打たれ弱さ。

 地球史上最弱植物、それがゴーヤなのである。






DSC_2989.JPG
 期せずして
 ゴーヤ一夜干しの出来上がり。




 なんですか、このオチ・・・。

  



 
 という事で 数ヶ月に渡ったワシとゴーヤの戦争はあっさり幕切れしたのでした。


DSC_2990.JPG





    撤収








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 腹立つので買った。



 悲しい。


 なにがMAXかっ!




2019-10-28-11-52-51.jpg

 チョロっとしか入っていない乾燥
 ゴーヤでさえ大きく感じる。
 やっぱりMAXや。


 の味しかしない。

 ううう・・・
 



 結論
 
 道北でゴーヤは植えない方がよい。

 お気をつけあそばせ。


 余談

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  ゴーヤと一緒にトウガラシも植えた。


 コイツも収穫も出来ずにゴーヤの後を
 追うように数日で枯れた。


 ひと夏のほろ苦い思い出である。



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