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命影郎 [こ・ら・む]

 昨日 本屋に行った。
 会計の際にレジで並んでいると私の前にいた30代前半に見える女性が今話題の
 本を持っていた。
 あ、ホントに売れているんだ・・・。

 私は本は読む方だ。
 まぁ、好きな作家以外は積極的には読まないが 大手ネット通販の商品レビューで
 小説の評価を参考にする事はある。
 さて、この作品。
 そのレビューでの評価は散々だ。
 読んでいないので作品の内容はさておき レビューを書いている人の中で辛辣でいて
 文学的な批評をしている人がいる。(レビューの大半は下らない嫉妬の稚拙な内容だ
 が)
 こういう人は人生の中で文学に触れる機会の多い人(よってレビューの信憑性は高い)
 で、実際に読んだ上でこの作品に対する評価は低い。
 数年の間、出なかった大賞をこの「ぽっと出の元タレント作家」が獲った事は、賞賛に
 値する。
 それが実力であれば。
 しかし 今までの流れを見るとどうしても疑問符が付く。
 2000万円もある賞金の辞退。
 作家で喰っていくとなると 印税とこういう賞金で生計を立てないといけないはず。
 何に遠慮したのか 賞金はいらないと・・・。
 ならば 恵まれない人に寄付すればいいのでは?
 「作家」というのは慈善事業では無い。
 そもそも 何故本名で作家デビューしようかと思ったのかが不思議だ。
 世間には本当に素性のしれない覆面作家がいる。
 そういう人は何らかの事情はあろうが、実力のみの勝負でこの世界を渡っている。
 業態は違うが芸能人の娘が 素性を隠してオーディションで合格し、銀幕デビューなん
 て話もよく聞く。
 そんなワケはない。
 どこの馬の骨か分からない人間を芸能事務所が抜擢するもんか。
 知らないのは苦労を知らずに育った当の本人だけという事もあろうかと思うが、実力も
 ない人間は人気も出ないし続かない。
 話題先行の瞬発力で胴元が懐を暖めるのだけ。
 この作品は早くも「すわ映画化か?」という流れになっているらしい。
 ホンマか?
 
 
 なんでこんな記事を書いたかというと、芸名を隠して応募したという作品が大賞をとって
 刊行されるにあたって地元新聞に本人の写真入りででっかく作品の広告が載っていたの
 を見たから。
 しかも本屋に行けば平台に山積みでしかも その横に並んで
「◯◯◯◯写真集」が山積
 みなっている。
 これのどこに 作家の力のみで賞を獲ったと思えるのだろうか?
 作家デビューから映画化までの一連の流れはあらかじめ予定されていたとしか思えない。
 形態は逆だが「松任谷由実=呉田軽穂」並みにどっちも周知の名称。
 
 この賞レースには1000作品もの応募があったと聞く。
 作家は(アイデアが枯渇するまで)作品を書けば書くほど文体は洗練され、表現力は向上
 し作品の質は向上する。
 この賞はポッと出の作家が獲る事が出来る程にハードルの低いレベルのモノだったのだ
 ろうか。
 ガチで勝負を挑んだ陰で泣いている作家の卵はどんな思いをしているのかね?
 見た目・性別・素性・家柄 全てのものを考慮しなくてもよい実力勝負でのし上がれる業界
 においても こういう事が起こるとどうすればいいもんか。
 マスコミに手玉にとられて簡単に踊らされる人間の多き事よ。
 ジャンプしたら小銭がバラバラと落ちてきよるわ。
 文学界の行く末を憂う。

 人によってはそういう作品に1500円弱を払うのも「価値」だろうが、かと思えば 大沢在昌
 氏は「ほぼ日刊イトイ新聞」でネット環境さえあれば新宿鮫Ⅹを「タダ」で見させて頂ける環
 境を用意してくれている。
 現代に於いて「文筆の真の価値」というのが分からなくなる。

 以下、余談

 ネットニュースでコメントが付いている記事によく「タレントの子供が親の七光りのおかげで」
 という書き込みをしているのを目にする。
 そういう書き込みをするヤツは 自分が成功して有名になって子供を同じような環境にしてや
 る事なんて考えはホンの一欠片も脳みそには無い。
 全ては僻み・妬みの産物。
 自分が変わる気なんてゼロなんで一生そのまま。
 今までに世の中が平等だった試しなんて無い。
 これからも・・・。
 
 永六輔さんが言っていた事で妙に心に残っている言葉。
 「平等ほど残酷なものはない」
 老若男女全ての人が平等であれば例えば老人やケガをしている人はシルバーシートには座
 れない。 というのだ。
 確かにその通り。
 平等というのは基本的な原則であって 且つ「思いやり」が必要なんだろうと思う。
 最近は思いやりに欠ける人間ばかりが目につく。
 オレが子供の頃はもっと 世の中はいい感じだった気がするがなぁ。  
 



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