無情 [雑文]
湯治を終えて実家に帰ったら一枚のハガキが来ていた。
それは、高校の同級生の訃報を伝えるものだった。
47歳。
早い。
死因などは今は分からない。
彼の結婚式にも行って、娘さんが二人いるはず。
昨今は年賀状だけの付き合いとなり、いつかは一緒に飲もうっていう事をお互
いが数年書き続けていた。
それはこっちの体調が問題で叶わない夢となった。
高校の時の親友のひとり。
学校に内緒で一緒に原付き免許も取りに行ったし、試験前日はワシの家で泊
まりこみで最後の試験勉強をやった。
高校在学中もこっそり原付きで遊びに行った事もある。
当時は高校生から一世風靡セピアがワシらのブームであって、広島であった
解散コンサートにも一緒に行った。
勿論、彼の結婚式にも出席した。
以来、毎年の年賀状でしかお互いの現状確認をしていなかった。
いつかは一緒に飲めるって思っていた。
まさか、こういう事になるなんて夢にも思わなかった。
病気や事故で亡くなったのならワシと替わってやってもエエと思う。
ワシは配偶者も子供も居ないので、死んでもそんなに価値は無い。
生きなければいけない人間が早く死んで、どうでもいい人間が生き続ける。
不条理な世界。
さぞ、無念だっただろう。
そんな思いとは関係無く「死」というものは突然に訪れるものらしい。
天国というものがあるとしたら、せめてそこに行って欲しい。
せめて彼の冥福を祈る事しかワシには出来ん。
人の価値と寿命ってイコールではないらしい。